旅は続く……
BY Yoshifumi Yamamoto
  先月だったか、英国の某新聞社が「アナタのベスト10」なるアンケートをとったら、ベスト5だか6だかに「ブレードランナー」がランキングされたというニュースがあった。
 どういった層を対象にしたアンケートなのかが不明だけど、多くの人にとって「ブレードランナー」はやはり輝けるエポックだったのだな、という思いを新たにさせられた。
  ところで、アナタはミックス・ジュースをミキサーで作ったコトはお有りかしら?
 バナナ、オレンジ、パイン、イチゴ、リンゴ、といったフルーツの小片に牛乳を。砂糖を少々・・
 ミキサーでかき混ぜてグラスに移す。
 フルーツの入れようによって味は千差万別なモノになる。
 イチゴが多いと赤みが過多の酸味の強い味になる。
 パインの量が多いと酸っぱいばかりの滋味となる。
 砂糖の加減、牛乳の量、バナナとリンゴの分量のバランス・・
 構成要素の匙加減一つで味は変容する。
 喫茶店のミックス・ジュースには、上記のモロモロにさらに隠し味が加えられる。
 たいがい・・ それは「水」である。
 牛乳を8割とすれば、水を2割・・ 入れるのだ。
 奇妙ながら、そうするコトでミックス・ジュースの味わいに滑らかさが加味される。
 一本の映画が多くの人に受け入れられ、結果としてベスト10に入るような誉れを得るには、ミックス・ジュースの製法にも似た絶妙が必要であろう・・
 役者だけでも不可。
 特撮だけでも不可。
 監督だけでも不可。
 脚本だけでも不可。
 労力だけでも不可。
 努力だけでも不可。
 多くの構成要素が、巧妙かつ絶妙に配置され、攪拌され、混ぜ合わされ、一つに溶けて、さて・・ 味は?
 「ブレードランナー」は、その成功例である。
 良く出来たミックス・ジュースである。
 数多ある映画というミックス・ジュースにあって、希有の存在である。
 一切のバランスが巧妙かつ絶妙である。
 雄大かつ微細である。
 この豊かな滋味の隠し味は何だろうか?
 終始降り続ける雨か?
 セバスチャンの部屋で煮え続けるタマゴか?
 スピナーを吊った太いワイヤーか?
 その一点を探るべく・・ 本項の連載は今後も続く。
「スピナー読本ファイナル+44」
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