エッジ・オブ・ブレードランナー
緊急第一報

By 武田真和
 とんでもないモノをみてしまった。

 私くらい「すれっからし」になると、もう多少のブレードランナーものを見たくらいでは、おどろかない。
 たいていの場合、「ふむふむ。それはですね」と、まるでお宝鑑定人のようにもっともらしく講釈をたれることが出来るくらい、まあ、いろいろなものを見てきたし、集めてきた。

 ところが。
 今日TVC-15の山本元帥より届いたビデオをみて、私はぶっとんでしまった。

なんじゃこらーっ!」(松田優作調)
 すぐ元帥に電話。
「元帥。な、なんですかこれは!」
「ふっふっふ。ス、ス、スゴイだろう」
 受話器の向こう、元帥の声も昂奮にふるえている・・・・・・
 ・・・・コレは、うわさに聞いていた、先月(7月)にイギリスのテレビ「チャンネル4」でオンエアされた特別番組を録画したものであった。
 元帥はアメリカより複数を入手したらしい。
 イギリスの放送ゆえ、PALであるのをアメリカにおいて、だれかが日本やアメリカの方式であるNTSCに変換してくれたらしい。
 その際に画質はだいぶ落ちたのだろうけど、もうそんなことはどうでもいいほど、この内容たるや・・・ とんでもなく
スゴイビデオであった!

 実を言うと、このビデオを見てしまってから、今日一日、私はほとんどなんにも手につかなかった。
 もう至福感というか、こころはずむ感じというか、要するに頭に血がのぼっちゃったのである。
 まるで恋する乙女だ。

 さて、くわしい内容はいずれじっくり紹介していこうと思うが、とりあえず速報ということですこしだけ。
「ON THE EDGE OF BLADE RUNNER」というタイトルの、この超マニアックなブレードランナーの一時間番組は、PART1からPART3まで3つにわかれている。
 おおざっぱにいって、PART1ではP・K・ディック(動いてしゃべってる映像が出てきてたまげた)の原作の紹介にはじまり、脚本家の二人やらリドリー・スコットやら、プロデューサーやら次々に名前はよく知っていてもどんな顔かなんて知らなかったスタッフが、大挙登場してどぎもをぬかれる。
 そして、主な俳優たちが18年前をふりかえって語っているインタビューが次々にながれ、ただただボーゼンとなる。
 タイレルさんまだ生きてたのね、とかプリスはやっぱり綺麗だなあ、とか、ゾラ姐さんは老けたけどこぎれいなおばちゃんだなあ、とか、とか、とか・・・。
 もう、ほんとうに言葉をなくした状態になった!
 PART2ではセットが組まれたスタジオで、「ここにチュウの目玉工房があって、ここに電話ボックスがあって・・・」と解説してくれるのにはじまり、怒涛のロケ地訪問。ブラッドベリーアパートは言うに及ばず、デッカードのアパートのエニス・ブラウン邸、警察署内部のユニオンステーション、なんと、あの例のトンネルまで実際に車で通ってくれる!
 実際の映画の場面と組み合わせて紹介してくれるため、すごく親切。かつ興味深い。

 そして、PART3では、使われなかったテストショット映像などを交え、監督やダグラス・トランブルが映画の構成について語っている・・・ようである(英語がそれほどヒアリングできるわけじゃないので・・・)。
 テストショットの一例をあげると、ガフのスピナーが警察署の屋上に着陸していくところで、なんとスピナーを最後の方まで映すのである。
 最大の衝撃は、編集室のモニターにうつしだされる、未公開の病院シーン!撃たれたホールデンが生命維持装置にいるのをデッカードが面会にいくという有名なシーン。まさかこれを拝める日が来るとは。

 どうです。
すごいでしょう。
スコット監督。
ますます頑固な職人さんという風情ですね。
汚いおっちゃんだなあ、などと思ってはいけませんよ(笑)。
セバスチャン役のW・サンダーソンはなんとブラッドベリ・アパートでインタビューに答えてます。元帥はこの人の直筆サインをもってるんです・・・ うらやましい・・・。
これが衝撃の初公開病院シーンの1カット! もちろん、この番組ではセリフの入った映像として見る事が出来る。
左は番組で紹介される未公開テスト・ショット・・ 
今まで見たことのないロスの風景になっているのに注目。むこうに見えるのは朝日?
 さて、とにかく! この番組はけっして安易な企画じゃなくて、本当にブレードランナーを愛し、理解しているスタッフがつくりあげたものだと思いましたね。
 巻頭から、もう熱気が伝わってきます。
 まさに映像版「メイキング・オブ・ブレードランナー」。
 すっかりやられました。脱帽です!

 それでは、もっとくわしい解説はいずれということで。
 とり急ぎ、ご報告まで ____________________
スピナー読本__増補版__のインディックスへ