最初のオフィシャル・最初のブート
BY 武田真和
 映画が公開されて久しく、音楽としてはあのアメリカンオーケストラ版しかなかった時代がありました。
 なかば諦めの境地でいた頃にふいに発売されたのが、このCDです。お持ちになっている方も多いと思います。オフィシャルとしての最初のリリース。タイトルは「THEMES」。1989年の発売です。
 邦題が「ブレードランナー/ベリーベスト・オブ・ヴァンゲリス」です。どうやったら「THEMES」がそうなるんだろうかと頭をひねりましたが、明らかにブレードランナーのフアンに向けた直球勝負なタイトルではありますね・・
 右のオビは1998年にポリドールから再販された時のモノ。
 しかし、どう転んでも、身も蓋もないタイトルだなぁ。
 ジャケットのモデルですが、この女性、なんとショーン・ヤングその人であります。レィチェルであります。これは知らない人が多いけれど事実です。
 そして、左の写真・・
「THEMES 2」であります。
 ホッホー、第2弾が出たかァ、と思ってはいけませんぞぅ。
 これはブートレック。海賊版であります。
 オフィシャル版のパロディめいたジャケットがとてもよろしいですね(^0^)。
 しかも海賊版のくせにゴージャスにもピクチャーCDであります。お金をかけております。
 ここでは写真を載せていませんがジャケットの裏にメーカー名なども入っておりまして、これがまぁ、大笑い。
POLYGRAPH」っていうんです。つまり、嘘発見器ですな。本家の「THEMES」のレコード会社がポリドール/ポリグラムですから、ゴロ合せのギャグになってるのだけど、ブート屋が海賊行為を自嘲してるような気配もあって、ギャグの深度が深いぞ・・ って感心もしますね。
 全14曲が収録されたこのアルバム(CD)の大注目は、このラストの14曲め。ブレードランナーのラブ・テーマの別バージョンです。これはワークプリントという試写版からの音源だろうと思われます。ビデオといっしょに再生(シンクロ)させてみると、全く編集が異なっているのがよく解ります。
 あの有名な「Say kiss me....」のシーンであります。
 撮影され編集されたものの結局はカットされたり紡ぎ直したりさせられて埋葬されたシーン・・ 音だけ聞いていると何かポルノのような響きがあって恥ずかしくなるような気配であります。レプリカントとヒューマンが今まさに「適切な関係」を結ぼうとしているのだ、というよりは、サディストとマゾヒストの関係が強調されたような按配です。
 リドリー監督がこのシーンを構築する際の苦労が忍ばれます。