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あんがいと知られていないスカイラブ計画。
アポロ計画を引き継いだカタチでのこのミッションは、米国初の宇宙ステーションを実用運営したものでしたが、さほど高く評価されていません。
現在の宇宙ステーションの礎ともなった企画だし、もっと評価されてよいよう思えるし、何よりも、アポロを打ち上げたサターンVロケットを用いた最後のミッションでもありました。
忘れられてしまうにはあまりに惜しいのが… スカイラブ計画です。


TVC-15 Apollonia Paper Modelでは、このスカイラブを打ち上げたサターンVを模型化しました。

模型については、最下段に記してありますが、ここでは計画の概要を記述します。

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アポロ計画が予算縮小されて17号で打ち切りが正式に決まったさい、すでに18号、19号、20号用のサターンVは発注済みの物品として建造されていました。
巨費を使って未使用のまま捨て置かれるのはあまりに不憫。
NASAはアポロ計画の途中終了に変わるメダマ企画としてスカイラブ計画を議会に提出。
未使用のサターンVを用いて、米国初の宇宙ステーションを運営するという企画です。既にあるものを利用しての宇宙計画。だから月に出向くホドの経費はかからない… という次第。
これが了承されました。

(実際には宇宙ステーションの計画そのものはかなり早い時期からあって、アポロ11号が月に降り立った翌月にはスカイラブ計画は既に立ち上がっていて、ダグラス社にS-IVBを改造したステーションの発注をNASAは行ってます。
スカイラブ計画での第2次滞在隊のリーダーとなるアラン・ビーンは当初からこの計画に参加していました。)

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概要はこうです。

スカイラブ1 
サターンVロケットでステーションを打ち上げ。
ステーション(スカイラブ)は、サターンの第3段ロケット部分(S-IVB)を大改造し、居住空間兼観測所とする。その上部にさらに観測(主に太陽)及び運営維持のための機器を搭載。
当然にドッキング可能。
これは無人での打ち上げ。
軌道にのったスカイラブ1は2対の太陽光パネルを展開し、同時に上記の観測機器(極めて巨大)を展開します。



左写真 : サターンV第3段ロケッット(S-IVB)を改造した、居住空間たるWORK SHOP部分。

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先端部には太陽観測装置やドッキングのためのユニットが組まれ、鉛筆のキャップのような外壁は宇宙空間で4分割に展開します。

スカイラブ2
スカイラブ1の発射とほぼ同時期に搭乗員3名を乗せて宇宙に送り出すロケット。
これはアポロ・サターン以前に作られていたサターンIBを使用。
搭乗員はアポロ・カプセル(CM/SM)に乗り、スカイラブ1にドッキング。
乗り移ります。

スカイラブ2、3、4と、ほぼこれは同じ仕様。

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large product photo スカイラブ2のクルー隊長は、アポロ12号で船長を務めたピート・コンラッド。
中央がコンラッド。


スカイラブ計画では、ちょっと… ミッション名とかが変なんですね。
3人の背景左にあるのが、サターンVで打ち上げのスカイラブ1。これの先端部が宇宙ステーションとなるワケです。

写真右後ろにかすかに見えているのが、スカイラブ2。
3人が乗って打ち上げられるサターンIBです。
ミッションとフライトの呼称がゴッチャになって、ややこしいのです。
事実、NASAの中でも勘違いがおきたようで… フライトワッペン(飛行士の胸に貼られてる)の番号がマチガッたまま縫製業者に発注されています。

それはそうと… ずいぶんと袋がくっついたパンツだな〜。歩きにくそう。
スカイラブでのこれがユニフォーム。


写真:NASA
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スカイラブ3
第2次ミッション。

第2次なのに、スカイラブ3だからヤヤこしいのです。

長期滞在したコンラッド達3人と交代します。
打ち上げの仕様はスカイラブ2と同じ。

船長はアポロ12号でコンラッドと共に月に降り立ったアラン・ビーン。(右側)
3人に加え、複数のクモも容器に入れられて搭乗。



写真:NASA
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スカイラブ4
第3次ミッション。

アラン・ビーン達3人と交代します。今回は全員が新人。宇宙空間初経験。


写真:NASA

アポロ・カプセル(CM/SM)は本来は月への往復が目的でしたが、ここでは周回軌道へのアクセスのみが目的なので、船内に5人が乗れる改造が施されていました。
(実際には3人のみで使用)

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上記のような筋書きで、スカイラブ計画は実施されます。

1974年の5月14日。
スカイラブ1は打ち上げられました。
これがサターンVロケットの最後の仕事となります。

残っているもう2つのサターンVは今は博物館に展示されてます。
逆にいえば、アポロ計画が中座しなかったら… ミュージアムで展示されるコトがなかったのが、サターンVです。



左写真 : アポロとは違う位置にアクセス・アームが取り付いているのが判ります。発射塔はこのように臨機応変出来るのが魅力。



写真: NASA

スカイラブ1本体を搭載のサターンV(正式略称SA-513)は、アポロ計画でお馴染みの39A発射台から打ち上げられました。
轟く轟音。
窓をも振動させる重低音が周辺数キロ先まで届きます。メキシコでは地震波としてこの振動が記録されました。
サターンVの最後の雄姿…。
以後、人類はこれより大きなロケットを持っていません。


見ためは、アポロのそれよりも巨大に見えるけど、実際はアポロ・サターンより軽いのでした。アポロの打ち上げでは第3段部もロケットだし、そこには燃料がギッシリ詰まってました。でも、スカイラブ1は居住の空間だから、中身が空っぽ。なので、アポロよりも軽いのです。

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一方で、搭乗員達はすぐ近くの、39-B発射台から打ち上げられます。
これはサターンVの前身たるサターンIB型での打ち上げ。
だから、背も低いし、大きさもサターンVに較べて小さく… なんだか背丈の足りない子供が台の上にのっかてるみたいな妙な感じ…。

もちろん、上記はサターンVとの比較として云ってるワケで、現実にはこれとて大きなロケットです…。

アポロCM/SMの試験飛行を目的としたアポロ7号も、実はこのスタイルでの打ち上げでした。

本来、第1回目の搭乗員たち3名は本体の発射とほぼ同時期に打ち上げ予定でした。
右は、スカイラブ1と2が同時に映ってる珍しい写真。

しかし、打ち上げのショックでスカイラブ1は破損します。
衛星軌道(高度435Km)にのったスカイラブの太陽パネルがうまく展開しないという事態が発生し… 飛行士達の打ち上げは休止されます。
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直きに損傷箇所の全容が判ってきます。
太陽パネルはスカイラブ1本体部の外に取り付けられていますが、この半分が打ち上げ時に脱落。
もう1つはワイヤーがからまった状態で展開できません。
あわせて、太陽からの直射を防ぐシールドパネルも半分が失われているという有り様。
太陽パネルによる電力供給は、展開さえ出来れば、パネルが半分になって片翼になっても、使用電力を制御すればしのげます。
けど、太陽光シールドは、これは何とかしないと、船内の室温が大変なコトになります。数週と経たぬ内にステージョン内は60度を超える高熱になるコトが予想されました。

写真の中央。表面のシールドが完全に剥離して銅色の金属本体部が剥き出しになっているのが判ります。右側に展開出来ずにいる太陽パネル。左側にちぎれてしまったパネルの残骸(ワイヤー)。

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そこで急遽、コンラッド達第1次滞在者たちには、この太陽光パネルの展開とシールドを新たに構築するという仕事が追加されました。

いきなりの圏外作業。
しかも初めての、極めて大掛かりな…。
この急遽な大変更プロジェクトはわずか8日後に実施されます。

実は、ここがホントはすごいのです。
アポロ13号を生還させたNASAのチームワークがドド~~ンと活きてます!
システムとしての"危機管理"能力の高さが示されます。

どうすればいいかが検討され、幾つもの案が出され、即座に模型が作られ、修復のための一番によい手段が選ばれ、材料が運ばれ、巨大なプールに沈めれているスカイラブ1の原寸模型を使ってコンラッド達はただちにリカバリーのシュミレーションを行います。
8日が経った時点でスカイラブ1の船内温度は50度を超えていました…。
映画化出来ちゃうくらいな緊張と勢い。

左は、NASAが公表した修復作業のイメージ画。


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オマケに、この主役となるコンラッドのキャラクターが"立って"ます。
前歯の中央には1本分ホドの隙間があって、囓ってるパンをそこからこぼしちゃうし、米国の数多(あまた)いる宇宙飛行士中屈指のおしゃべり。
しかも甲高い声。
アポロ12号の月からの中継では、この人の高笑いに全世界のテレビ解説者がアゼンとしちゃったくらいな勢い。
アポロ11号のアームストロングの厳粛感ある声とは裏腹、コンラッドは月面ではしゃぎまくって、そりゃも~、大変。
実際、筆者もかつてこの生放送をテレビで観て、
「アホかしら、この人」
腹立たしいような感触を持ったもんです…。モチロンそれはオオマチガイ。

※ 写真はアポロ12号発射の日の朝ご飯中のコンラッド。
  朝からステーキはアポロ時代の慣例。肉の厚みが… 素晴らしい。

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コンラッドの口の悪さはピカ一。日常、口汚い単語を平然と言える人。
もちろんタバコを吸います。
車もバイクも高速でブッ飛ばす。
しかも腕には刺青だ。
これを隠そうともしないから… 某国の某市長ならばゼッタイに拒絶するであろう姿カタチ。
でも、決断力と知恵の具合はアポロ計画の飛行士仲間の間ではダントツと評判の人。
信頼厚く頼りになる人。
ミテクレだけで人を判断しちゃ~イケマセンの典型。
実は素晴らしい人。

彼のつけてるオメガ。上の写真で判る通り、文字盤側を手の裏側に持ってきていますね。
アポロでの宇宙服着用時には、時計は手の裏側に取り付けられます。
コンラッドは日常から、その慣習に慣れるべく、このように反対にしているワケで、ギャハハと笑いつつ、根っこの所ではキチリとマジメなのでした。


写真: NASA

large product photo 8日後。
5月22日。

新たな指命を背におって、この賑やかなお祭りオトコみたいなコンラッドを隊長とする一向はサターンIBで打ち上げられました。
これはスカイラブ2と呼ばれます。
ちょっとヤヤコシイでしょ。

コンラッドは自ら宇宙空間に出て、修理を開始します。
僅か8日で練られて実施される、危険な仕事。
おぞましいホドの集中力と注意力と琢磨の腕が必要で… あったでしょう。
一番に重いのは… 責任というヤツ。大気圏外なので身は軽いけど… 重圧はヘビー。それに耐えてのハードワーク。




写真: NASA
large product photo 太陽光パネルを展開させ、さらに、本体をカバーしてステーションの温度を下げて一定に保つためのアルミ箔の幌がスカイラブの外側に張られました。
日傘みたいなもんです。直射を防ぐための苦肉の方策。
当然に、すべてオール手作業。
科学の粋を結集したスカイラブを守るため、コンラッド船長が自身の死の危険と隣り合わせでやり遂げた大いなる男の仕事!
large product photo 今に残るスカイラブの写真の数々を眺めると、なるほど、たしかに…、見てくれは悪いです。
黄金色に輝く熱対策のカバーが、まるで、公園の隅の浮浪者のダンボール製仮設な屋根みたいなアンバイ。
でも、これが1人の男の宇宙空間での手作業でもたらされた"安全の確保"と思えば、その凄さが判ります。
米国の威信がここに集約しているとも云える、手作業での成果なのです。
電極がついていて、このシールドから電力も得られるという… 「巧みのワザ」。
これで、どうにか、スカイラブ計画は計画として、遂行され続けることとなりました。
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即座に記念切手が米国では出ました。
チャンと… コンラッドが張ったシートも描かれてます。多少歪んじゃった風情もイラストで描写。背景の黄色や紫色の丸っこは、これは太陽。太陽観測がスカイラブ1の大きな仕事なのです。
large product photo スカイラブ1の居住区は、なにしろアポロサターンの第3段ロケット(S-IVB)を流用したものだから、大きいのです。
小さなパーティッション(2階建て)はあるけど、いまだ人類が宇宙空間に持った空間として最大のスペースを誇ります。
現在のISS国際宇宙ステーションはのべの面積はスカイラブより大きいけれど、1つのフロアとしては随分に狭いものです。
例えて云うなら、現在の宇宙ステーションが四畳半の部屋で構成された複合施設なら、スカイラブは部屋数1つのでっかい体育館、でした。
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なので、写真のような… コトが出来ちゃいます。
これは第2次隊のアラン・ビーンが"遊んで"いる所。

余談ですけども… ご承知の通り、ビーンは非常にシャイな人で、おとなしくって、マジメな人なんだけど、なぜかコンラッドと非常に親しい関係でした。
親しいというより、むしろラブな(変な意味でなく)絆を持ってました。
スカイラブ計画の後にアラン・ビーンは画家になりますけど、彼が繰り返し、そして、いまだに月面でのコンラッドを描いてる所にもその片鱗が窺えますね。
性格も気質も振る舞いも違うタイプですけど、強い友愛がコンラッドとビーンと、そしてもう1人、12号で月に行ったゴードンの3人にはあるようです。
イイな~ぁ。

 

余談ついでに… アポロ12号の第3段ロケット部分は、本来は月面に衝突する予定でしたが、衝突軌道を得られずにそのまま漂い、太陽を大きく周回する軌道に入りました。
したがって、今もこの第3段(S-IVB)は人口物体(天体)として宇宙にいます。

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左は、アポロ12号における訓練中のコンラッドとビーン。
2人の好感度が高いのは、この嘘のない笑顔です。
コンラッドは口の悪さはNASAの歴代第一位ですが、背の低さも第一位。
月面に降り立った最初のヒトコトは、
「ウイッピ〜〜!」
という奇声。
そのあと、
「アームストロングにゃ小さい一歩だけど、オレにとっちゃ大きい一歩だ」
と、自身の背の低さにひっかけたジョークを申します。
なので、彼を知る関係者は大笑いでした。でも彼のことをあまり知らない全世界のテレビを観ている人や各国の中継した放送関係者は、「高慢な人だな、こいつは」と、今のような情報化時代じゃないんで… 知らず、そんな印象を念頭に浮かべるのでした…。

余談を繰り返すけど… トム・ハンクスがプロデュースのTV番組「人類月に立つ」の第8話は、アポロ12号を描いて秀逸なのですが、この3人がアポロ船内で「シュガー・シュガー」を合唱している楽しいシーンがありますね。
Sugar Sugar」はアーチーズ(The Archies)の1969年全米No1の大ヒット曲。
「アーチーズ」というコミックがTVでアニメ化され、その中の挿入歌がこれなのでした。
音楽好きなティーンエイジャー達が趣味のバンドを組んで青春を謳歌してる物語。



したがって、実際には「アーチーズ」というバンドは存在せず、演奏と歌はスタジオ・ミュージシャンなワケ。よほど売れたらしくって、60〜70年代を通じてトップ6位(ビルボード誌)という好成績。
この「アーチーズ」なる架空の高校生バンド物語の仕掛け人は、かのTV番組「モンキーズ」のプロデューサーたるドン・カーシュナー。
2011年のはじめ頃に亡くなってしまったけど、アメリカンポップの巨大な先導者です。
たしか、ニール・ダイアモンドやビリー・ジョエルを見いだしたのも、この御方。
ニール・セダカやキャロル・キングもこの人の事務所に所属してましたね…。
ついでのついでだ(苦笑)。この1969年の日本での大ヒット曲はといえば、由紀さおりの「夜明けのスキャット」が第1位。
第2位が「港町ブルース」。森進一がデビューするワケですな。

スカイラブが軌道にのった1974年の、日本のヒット曲の第1位は、南こうせつとかくや姫の「赤ちょうちん」。第2位が森進一の「襟裳岬」。吉田拓郎がかいたんですね、コレ。
その拓郎とかまやつひろしの「シンシア」という曲もこの年。
サディスティック・ミカ・バンドの「黒船」が出て、多くのロック・フアンがビックリギョ〜テンで狂喜したのもこの年です。
年末頃には宇崎竜童ひきいるバンドがデビューして「スモーキン・ブギ」がヒット。このバンドの形に触発されて全国で、白いツナギ服が飛ぶように売れておりました。
田中角栄の第2次内閣から三木武夫の内閣へと、ロッキード事件に揺さぶられつつ、変わってくようで何も変わらなかった時代…。


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さてさて。
音楽話はおいて… スカイラブ。
穏和な感じいっぱいのアラン・ビーンも、実はあんがいとオチャメです。

第2次滞在クルーからの宇宙中継として、ビーン船長は3人での食事の光景を米国のお茶の間の皆さんに放映しました。
左の写真のように。

スカイラブ内の"レストラン"の、新式なテーブルを披露して、いわゆる宇宙食が温め可能でメニューも豊富というのを国民に披露するというのが命題でしたが、左写真のように、彼は宙に浮いて反対向き…。
普通は、下の写真の通り。これはコンラッド達第1次隊の食事の風景。各テーブルの足元に両脚を固定するフックがあって、人体が浮き上がらない仕組みになっていました。



この宙返りのお食事で何が起きたか…。
初の宇宙飛行となった他の2人はお食事中、眼の前に浮いて反対向きでスープを呑んでる船長を、なんとかケンメ〜に見ないフリをしますが、ダメ。
酔いました。
ひどく嘔吐しました…。
それを見て、次いでにビーン自身も酔いまして… 数日、3人は寝たきりになりました。

large product photo スペース・シャトル時代の船外活動用の機器も、このスカイラブ船内(!)でもって実証実験が行われましたよ。
無重力ですし、広いし、こんな"飛行"実験も出来たワケ。
この結果を踏まえて、第3次隊で実際に外に出て試運転が行われました。
large product photo スカイラブ計画の、その最終のエピソードとしては、運営終了後の地球への落下でしょうか。

スカイラブ1は低軌道を周回しており、永遠に地球を廻るワケではありませんでした。想定された期限は8年。
8年経てば地球の引力にひかれて落ちる運命でした。
なので、第3次の乗組員達が活動している頃、さらにこの計画を引き延ばそうという企画も産まれます。
第4次の隊が宇宙に出てアポロCM/SMの推力を使って、スカイラブ1を高い軌道に持ち上げようという話。
けれど、予算化されませんでした。

第1次隊 28日滞在。
第2次隊 59日滞在。
第3次隊 84日滞在。

スカイラブ1は第3次の滞在者達が帰還後は無人で放置されました。
すでに、スペースシャトルの時代。
そのシャトルを使ってスカイラブ1を高軌道に持ち上げ、もう一度、運用しようという話も出てきます。
第2次スカイラブ計画です。
でも、シャトル計画はカメのような歩みで、これまた実現できません。
まさにその頃、太陽の活動が闊達になり、そのために地球の大気が膨張していました。
この膨張による大気抵抗が低高度を周回するスカイラブ1に影響をあたえ出します。
ジワジワと地球に引っ張られてるワケ。
NASAはこれを知って慌てますが… もはや、手遅れ。
1982年頃までは大丈夫なはずだったスカイラブ1は軌道から外れ、1979年の7月、落下するコトが確定しました。

落下軌道は計算出来るものの、想定外の落下でしたので、該当の地域は大騒ぎ。
「いよいよ明日落下。大丈夫なのか我が国は?」てな感じで日本でも当時大きく報じられ、いわば迷惑なモノの代名詞みたいな感じになってしまいました。
ケガ人が出なくて安堵ですけど、実際、オーストラリアには広範囲にかなり大量の破片が落下しました。
それも結構… でかいのが。

右の写真は、1979年、落下直前の頃のジョンソン宇宙センター近くの衣料系スーパーのチラシ。
"再突入記念セール"なのですな。素晴らしい商魂。
けども、各フレーズの語尾に「…」を置いてます…。この辺りに、巨大物落下の若干の不安が隠されているような感じも、チラリ。

で、現実にはこれっくらいにデカイのが…

これは落下点近くの街で開催中だった「ミス・オーストラリア選抜-地域予選会」の写真。地域の人が拾い(!)、ミスコンテストの会場に運んできちゃいました。

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米国における宇宙ステーションの計画は、NASAの誕生とほぼ同時に進行し、あれこれのプランが公表されていました。

いみじくもアポロ13号が難儀に直面した頃(1969年)に公開された映画「宇宙からの脱出」には、スカイラブに極めて似通うステーションが登場しています。
ファン・ブラウンのS-IVBを流用するアイデアを踏襲したもので、実際のスカイラブもほぼそのまんま。

そもそも、多くの米国人が描く宇宙ステーションのイメージは、巨大な銀色のドーナツ型であったでしょう。50年代より、それは繰り返すようにしてSF小説や挿画に描かれていたし、とどめとしては1969年の映画「2001年宇宙の旅」でしょう。

そういった次第もあって、米国内の事情としては、スカイラブ計画には"マスコミを惹きつける目新しい何か"が不足していました。
ロケットの改造でしょ。その形はもう10年前から知ってるよ~、ってなアンバイであり、映画に較べてズイブンにショボいな〜。てな感じだったでしょう。
その辺りに不人気となる要因があるのでしょう…。

ちなみに、「宇宙からの脱出」にはグレゴリー・ペックや、「逃亡者」のデビッド・ジャンセンや、ジーン・ハックマンやリー・グランドなどなど、豪華な俳優陣が出てきます。
けっこう予算を使った映画で特撮も新式。
当時最新鋭のこの特撮は、その頃に円谷プロを率いていた円谷一氏を驚愕させました。
昭和45年刊の彼の「特撮のタネ本」からは、コンピューターを用いた"移動オプチカル合成"についての羨望めいた溜息が聞こえてきます…。

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ついでながら… アポロといえば時計はオメガという感触ですし、事実、そうだったのだけども、スカイラブ4(第3次)の科学搭乗員ウィリアム・ポーグの左手に巻かれたのはオメガではありませんでした。なんと、SEIKO
セイコー初の宇宙行き。
1973年11月16日に打ち上げられ、翌年の2月8日まで、これは"宇宙活動"を行いました。

NASAの所有物ではなく、ウィリアム・ボーグの私有物であったようですが… それゆえにか
後にこの腕時計はオークションに出されます。
60~70万くらいの値がついて今はスウェーデンにあるようですが…。 
あれ? 
アンガイ安いですね。
そうなんです。実はキズだらけ。ガラス面はヤスリでこすったようなアンバイ。
でも、それゆえ… 貴重なものなのだし… もちょっと… 値をつけて欲しかったような…。というか、そもそも、何でオークションなんかに出たんでしょ?

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ともあれ、上記のごとく、面白いエピソードが数々あるスカイラブなのでありました。
太陽観測で大きな成果(コロナ・ホールの発見など)をあげたスカイラブが、その太陽の影響で落下したというのも… おかしなもんです。
が、その存在の凋落をもって、地球がいかに太陽の影響を受けているかをハッキリと示し見せたワケでもあります。
人類にとっては大型なステーションなれど、太陽にとって、地球にとっては小さなモノでしかない… というリアルな現実を見せてくれたワケなのです。

これを打ち上げたサターンV。その独特でたった1回限りのカタチ。
これが模型になっていないというのは、不公平というもんです。


というワケで写真の通り… 模型化であります。
ペーパーモデル。
製品はDVD。データが収録されてます。ご自宅のA4プリンターで出力。
切って貼って組み立てます。

スケールは1/116。
別売の発射塔模型の大きさに準じます。


写真はTVC-15/Apollonia Paper Modelの模型。
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しかも、お得感満載なセットです。

アポロ12号。(コンラッドとビーン関係ですからね…)
スカイラブ1。
そして、強靱極まりないF-1エンジンを5基も搭載のサターンV第1段ブースターのみに特化させた展示用モデル。

この3つの組み立て完全データが入っています。

左:模型を撮影したもの。メンテナンスの装置も再現してあります。

large product photo 左写真は、ボーイング社での記念式典。
サターンVの最終飛行となるため、祝賀というかお別れ会というか… いささかに複雑ながらも、楽団も入って賑やかなコトになったようです。
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市販の銀色(シルバーフイルム)ペーパーを使えば、金属光沢もバシリと再現可能だから… ペーパーモデルは愉しいのです。
large product photoこれはパッケージ。

ご注文は、apollonia@tvc-15.com へメールでどうぞ。
2013年7月末まで送料は全製品無料デス。


サターンロケット・セット  scale1/116

モバイルランチャーにマッチするスケールで、3種のサターンV(5型)を!
まずはアポロ12号。機体番号もキチリとプリントす。
そしてサターンロケットの最終使用となったスカイラブ1。
さらに、ディオラマ的に楽しめる建造中の第1段ロケット(S-IC)。この台車に乗ったカタチは米国のミュージアムに飾られている今の姿でもあるワケで、過去と現在がクロスオーバーする斬新なディスプレーです。
この3つをカップリングしたとてもお得なキット、しかもペーパーサイズはA4。
どなたでも組み立てられます。

Apollo-12
Use-A4paper
15枚
SKYLAB-1
A4
13枚
S-IC BUILDING
A4
17枚
解説&取説 manual
A4
64page

price : 4900YEN
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 超お得なセット 13000円    
サターンロケットセット(4900yen)+クローラートランスポーター(4000yen)+モバイルランチャー(12000yen)
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