実用車?

 やや実用的にも使えるバイクが必需であろうとの思いがかねてよりあり、7月から8月の炎暑のさなか、各社のカタログ眺めたり、雑誌のページをめくったり、ア〜しようコ〜しよう、ビール舐めつつ、思案を泡と浮かせては「愉しんで」いた。
 主眼は、MTB系ながらも街での走行にも適したいわゆる「コンフォート」と呼ばれるカテゴリー車を、さらに実用車として使うという一点である。
 実用というからには、私の場合、『かご』が必需なのである。
 いわゆるママチャリがごとく、フロントの、あの『かご』である。
 これは非常に便利なモノなのである。お気軽でお手軽で重宝この上ない。
 この重宝を、軽量なコンフォート・バイクに付加してしまいたいという目論みなのである。

「実用なら、実用に適したモノが幾らでもあるから、いっそ、そっちにしたらどうだい?」
 今や良き相談相手となった田中サイクルのT氏は、云う。
 自転車稼業30年オーバーの強者・T氏には、当然に確固たる信念と理想がある。
 ドロップハンドルのロード・レーサーを頂点とする、その信念と理念と理想でいうなら、「コンフォート」というカテゴリーそのものが、どうやらお気に召さない気配が匂ってくるのであるけれど。
 とはいえ、私にゃ私の考えがある。
 理詰めで考えりゃ、ゼッタイ的にT氏が正しいのは判っているのだけれども・・ 今は「私なりのスタイル」が気になる私なのであるからシャ〜ない。

「シャ〜ねえなぁ・・」
「シャ〜ねぇでしょ、えへへ」
 てなワケで、T氏に重い腰を上げてもらい、車両チョイスの協力体勢が整った。

 バイク重量が13kg前後の軽量であるコト。
 乗降性にすぐれたフレーム形状であるコト。
 タイヤはスリックないしはノーマルであるコト。
 フレームカラーは青系か赤の系であるコト。
 フロントにサスペンションがあるコト。
 カゴをつけるコト。
 スタンドはアリ。
 ライトを装備。
 サイクリング・コンピュータも付ける。

 そんな条項を主眼にフレームのチョイスの幅を狭めていく・・。 
 ちなみにMTBっぽいナリをしてカゴもつけた自転車は、量販店に行けば幾らでもアル。それも2万円くらいで売られていたりする。
 がぁ・・ それは・・ あんまり買う値打がない。
 安いにはワケがある。まずマチガイなくフレームが重い。3万円のそれと10万のそれとの最大の相違は、概ね、フレームの剛性と重さだといってよい。材質が違うのだ。材質の加工の度合が違うのだ。それが重さになる。重い自転車はペケだ。バスケットシューズでマラソンをするようなもんだ・・。
 それからギアの耐久性能が違う。ブレーキの制動が圧倒的に違う。アレが違いコレも違う。カタチは類似しても、本質の所で決定的な差異がある。自転車の場合、これが価格に露骨に反映する。
 モノは安いに越したコトはないのだけど・・ ちょっと小声になって言うけれど、似非であってはイカンのだ。
 なワケで今回は各種装備含め御予算10万円で摸索というコトとした。
 数社のバイクが候補にあがってくる。
 具体な名をあげると、
 Panasonic パナソニック。
 Koga-miyata コガ-ミヤタ。
 Schwinn シュウィン。
 Giant ジャイアント。
 この4社。

 形として一番気にいったのはKoga-miyataのPeveaというバイクだった。
Koga-miyataはオランダのKogaと日本の宮田工業がレース・シーンを主眼に取り組んでいるブランドだが、最近はコンフォートも発売しはじめた。
 で、Peveaはその代表格。
 オ〜、これぞ理想! と思わさせられるフレームなのである。色も青色が鮮やかで綺麗だし、車重も13.5Kgとほぼ合格点。
 が、T氏がコレを許さない。
 後部ブレーキのワイヤーの取り回しに、氏は難色を示すのである。
 この形だと、サドル・ポストへのアレコレの取りつけがいっさいペケだし、なにより、ワイヤーが急斜で上がり直ぐにクニャリと曲がって下方に流れている以上、なが〜〜い眼で見ると、この極端な取り回しはブレーキ制動にマイナスだろうとの御意見なのである。
「ダメかしら・・」
「たぶんな。実用車の顔を持たせるには、かなりマイナスだな」

 こうして最大の候補は落選した。

 Panasonicのそれは形は満足だしプライスも嬉しいが・・ カタログをよく読むと白色しか、ない。
 白は今回はチョイスでない。
 なワケで、また落選。

 Schwinnは米国のメーカーで、歴史は長い。いわば老舗の風格があり、所有すると嬉しくなる気配のあるバイクである。老舗ながらも最近は気鋭メーカー・GT社と組んで新たなフレームの開発に乗りだしていたりする。
 候補にあげたバイクもカッコいいし、色もいい。
 だが・・ フレームサイズが私にあうモノがない。
 私に小さすぎるのである。
 これがいいとチョイスしたものは、Lady's仕様だったのである・・・。

 で、Giantが残った。
 高名なる台湾のメーカー。
 MTB初心者の羨望のマトなれど、中級者には見向きもされない。されど上級者の一部には絶大な信頼があると謂われる自転車業界の最大手。スペインのロードチーム・オンセのオフィシャル供給メーカーだ。
 私が選んだのは、ネイビーブルーのアルミボディで重さ13.3kg。
 フロントサスで、さらにシートポストにサスペンションがある。
 シマノ製のギアが搭載されフロント側3段のギアにはクリアのカバーもある。
 あ、ココはチェーンリング、というのか。

 結局、このGiantを発注するコトになった。
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 発注して2週間目、8月も終わろうとする頃にモノは届いた。
 T氏は早速組み立てを開始する・・・・・。
 ホィールのブレを取る、傍目で見ると気の遠くなるような作業を、店先に座り込み黙々こなし出す。
 ホィールは既にメーカーが組んでいる。されどT氏の眼にはまだ不満の塊のようなモノで、ブレが必ずあるそうである。その縦ブレ・横ブレをゼロにすべく、スポークを一本一本、T氏は調整する。
 聞けば、そこまでの必要はないのだという。
 競技車両でもないし、まして、実用と称してカゴなんぞを取りつけるバイクなのである、されど、それではどうも気がおさまらない、落ち着かない・・ それで、座り、黙々とワッカを廻してブレを取る。
 ぁあ、職人だ。

 その間に、『カゴ』の選択も出来た・・・。
 サスペンションがあるワケだから、フロント・フォークからバーでもって支えるという次第にいかない。
 ハンドルに引っ掛けるだけの、まことにお手軽ながら実用には難のあるモノなら容易に捜せるが、いざ、本気度の高い実用品となると、コレはなかなかナイ。
 されど、モチはモチ屋だ。
 これはどうだろ、とT氏が捜し出してきた。
 ハンドル・ポストの下側とハンドルそのものを利用して取りつけ、 一見チャイルド・シートのミニ版みたいな、折りたためるカゴである。
 5kgまでの重さに耐える。
 カタチとしてややヘビーっぽく、洗練さにも欠けるけど・・ 実重量は軽い。ココは良しとしよう。
 このカゴの取りつけがため、ハンドルポストのリングの1枚を外しとり、ついで、ハンドルポストそのものも短くカットしたもらった。

 念願の、スタンドもつけた。
 カッコは悪くなるが・・ 便利なんだ、やっぱり。

 後方への警告ランプもチョイス。夜間、けっこう間近を追い抜く車があるから、こういう自衛的装備も必需なのだ・・ 
 これは常時点燈でも点滅でもOKなCATEYE製。
 メーターはあくまで面白がってつけた。
 すでにGTのi-Driveには、無線のそれをつけている。これもCATEYE製だけど、今回のGiantは、有線のちょっと値段の低いモノを選択。
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 9月のある金曜、こうして、実用的使用もOKな1台が組み上がった。
 ハンドル廻りの見てくれが・・ さすがに重厚で、軽快感がない。ライト、サイクリング・コンピュータ、シフト、ブレーキ・・ ここっきゃナイのよとばかり、実際、そこにしか設置出来ないワケもあり、それぞれがせめぎ合うようで、いさかかニギヤカ。美観にゃ欠くが、「実用」を持ち込んだ以上、片目つむって微笑む以外に手立てなし。
 乗車してみると、なるほど、視界に入るのは「カゴ」の存在である・・。
 眼がそれを『重い』と認識してしまう。
 実際には軽いシロモノなのだけど、眼がそれを許さない。フロント・ヘビーでござんすなぁ、と眼が訴えるものだから、それが脳のどこかの回路に影響を及ぼして、なんだか、ブイブイ駆ける気力を削ぐようなトコロがある。
 実用なんだ、と思いきめつつも、なんだ、この気分は・・ と、私は私に呆れるのであるが、私の中の私の一部は頑なめいた拒否反応を起こしている・・。
 この辺りがスポーツ・バイクのスポーティなる部分なんだな、と考えをめぐらせると、何か大事な部分を殺しちゃったような、二兎追うものは一兎も取れずな感触も滲んでくるのだけど・・ 
 いまさら、それを言っちゃ〜お終いよ  (^_^;)
 やっぱりカゴの恩恵は大きい、と前向きに思わねばと、私は私の中の一部狼藉者を叱咤したりも、するのだ。
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 MTBやコンフォートは、こうやって工具なしでバラしちゃえるコトも楽しいね。
 メンテナンスが楽というより、好んでメンテナンスしちゃうようなトコロがある。
 この辺りの面白みは車以上かもしれないな。車と違い、サイズも等身大だし、何よりメンテナンスするコトが結局は自分でこぐコトが命題の自転車をより身近に引き寄せるみたいなトコロが、あ〜〜る。
 車ホドの複雑さもなく、いわば、メカニズムの基礎の基礎みたいなトコロもあるし・・ ともあれ、こうやって触るコトは・・
 楽しくていけないよ。 

我がバイク生活の新三種の神器
Rain棒号 と名付けてあげた・・ 
雨の日専用車。だが、雨降りの見極めは難しい・・
午後より降りだすというコトまでには対応できない。
朝からジャバジャバの雨に限り、乗る。
GT i-Drive
MTBのタイヤからスリックにかえた。
タイヤ交換の効果は劇的で、非常に軽快。
ペダルも換えた。
スニーカーとの相性がとても良くなった。
Giant   
今後はこれが主たる足となるが細工の余地は大いにありとみた。
細工輪具、と宛て字しようか・・。
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伝聞だけど、カナダからの留学生が日本に来たさい、駅前の自転車のメチャな駐車のその量に圧倒されたという。マァ、カナダの方でなくとも心痛む光景ではあるんだけど・・・。
そのカナダの若い人が一番に驚いたのは、ママチャリという存在だそうです。
どうも、カナダにや、ないらしい (^0^)
ときに、中華民国の北京の映像などを見るに、黒々とした古めかしい自転車での通勤光景が映って、ぁあ、やはり日本じゃないなぁといった感想を覚えるのだけど・・ 我が国における普遍的光景としてのママチャリもまた、他国の人には「独自」なものとして映ってるよう。
ちなみに、カナダでは老いも若きも、どうやらMTBが主流のようで、ママチャリはほとんど生息してイナイみたい。
思い返すと、かのニューヨークの路上の映像でも・・ やはり、ママチャリ風味なモノって、映らないね。
映そうにも、おそらくは存在しないからなんだね。
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