木金土日

              木曜

 急に春らしくなってきた。
 室内より外の方が暖かく、雲もなく風もない陽気。
 近くの後楽園には、桜はまだ四〜五分咲きながら、多くの花見客がゾロゾロと繰り出し始める。
 岡山の最北端に住んでいる若い知人夫妻が一子を連れて夕刻にやってくる。
 我が友はまだ冬服だ。
 同じ県とはいえ、気温は大きく違う。
 気温に誘われ、岡山市内には早くも半袖が登場しているが、県の北部ともなれば、山にはまだ雪がある。

 県北の友は小さな原型を携えてやって来た。
 チョロQのユニットを組み込んで走らせる、ミニの、その原型だ。
 T&Iサーキットにて、 来たる4/23開催のイベント「ミニ・ジャック」に私どもは出かけ、フリーマーケットに出店を予定している。
 そこでの販売物というワケだ。
  販売といっても、当日限りの、私達自身が楽しむがための・・ という色彩が強いのだけど、出店する以上、気がきいた品の一品や二品は、欲しいトコロだわさ。
 その一品が、このチョロQミニというコトになる。
 
 今週発売の「週間現代」に幾つかのインスタント・ラーメンの名が列記され、それらにはある種の農薬がたっぷりと含まれている、というコトが書かれている。
 好みに思っていたものの幾つかが該当していて、小さな悲しみを覚えるが、なぜか、その内の一つを無性に食べたくなる。
 そこで、密かに買い求め、
「そうか、おまえもか・・」
 と、麺に向けて呟きつつ、深夜、食べちゃった。
 チキン・ラーメン。
             金曜

 警察に勤める知人が新車でやってくる。
 随所にオシャレな演出が施された「現代の車」。
 後方にはカメラまでが装備され、ナビゲーション・システムのモニターに背部が映されるようにもなっている。
 背が高い車ゆえ、後方の安全確認という意味で設置されていて、まさに「現代の車」では、ある。
 フアンカーゴという。
 不安籠(フアンカゴ)ではない。
「この車、オモチロイかい?」
 我が友に尋ねると、彼いわく、
「面白いコトないよ」
 即答として、単なる足だと返事した。

 午後。
 マンガ家のM.T氏と電話で打ち合わせ。
「モデル・カーズ」に掲載予定の当方の新作キットを使ったオモチロイ企画・・ その話。
 どんな風に調理されるか、大いに楽しみたい。
 氏が雑誌「Tipo」のマンガに載せた我が友の肖像について、後日、その当の本人にソッポを向かれたと、氏は言う。
 笑う。
「もっとヒドイ顔で描いてよ」
 と、注文しておく。

 昨日の県北の友の、その愛する奥方が義父と一緒にやってくる。
 ずっと新聞社のカメラマンを務めた人で、退職したけど今も取材依頼がある。
 若い頃は警察廻りのカメラマンもやっていたという。
 その頃の話を少し聞く。
 楽しい。年配の経験談を聞くのは嫌いではない。
 些細な小さなエピソードの断片ながら、春の花のような色彩をおぼえる。
 夕刻。
 デザイナーのT君の父の訃報を知らされる。

 仕事として接する模型より、やはり、自分の楽しみでの模型というのはイイもんだ。
 昨日のチョロQミニの型取り作業も、これが純然とした仕事なら億劫なハズなのに、なんか、鼻歌まじりで作業が出来る。
              土曜

 柔道家のS君が、靴が破けて悲しい・・ と申すので、仕方ない、一つ、買ってあげるコトにする。
 巨体、巨重・・ ゆえにサイズはでかい。
 良いデザインの靴だと思って手にしても、適合サイズがない場合が多々。
 なにしろ29cm。
 これで蹴られたらさぞや痛いに違いない。
 怒らせると危険ゆえ、靴を買い与えた上に、映画にも連れていく。
「マーシャル・ロー」の先行ロード・ショーの日である。
 靴を買った総合ショッピングセンター内の、ムービックス倉敷にちょうどかかっているので、都合がいい。
 デンゼル・ワシントンもブルース・ウィルスも好きな役者だ。
 何かを貫こうとする意志の在処をたたみかけるようなセリフでもって演じさせると、デンゼルの右に出る者がない。
「マーシャル・ロー」は大作でもなく、優秀作という程でもなかったけれど、この手の題材の映画というのは、日本では撮れないんだろうなぁ、とポンヤリ思う。

              
日曜

 昼過ぎに起きだし、朝刊を読みながらビールを飲んだら、また眠くなった。
 ちょっとだけヨ、のつもりでベッドに横になったら、気づくと夕方だった。
 ぁあ、なんという怠惰と、舌うちしても仕方ない・・
 作業場へ入り、抜き作業を行う。
 チョロQミニのシリコン型にウレタン樹脂を流す作業。
 いつものコトながら、最初の一ケめが出来上がるのは、ちょっとワクワクする。
 うまく出来たかしら・・
 歪みはないかしら・・
 気泡はないかしら・・ 
 ってなコトは最初の内に思うだけ。
 一ケが抜け、2ケが抜け、3ケ、4ケ、5ケ、と次々に複製品が生まれ出すと、作業は単調ゆえ、単調さに苦痛が忍び寄ってくる。
 そこで、作業しつつ、頭の中で、女トモダチなんぞを思い描き、彼女を裸にしてみたり、横にさせてみたりの妄想を抱いてみたり、スル。
 もちろん、そんなコトばっかりを思い描くとアホになるから、生まれたての複製品を一列に並べたり円座のように丸く配列させたりして、小さな子がオモチャを並べて遊んでるのと同じようなコトをしたり、スル。
 赤で塗ったり、緑で塗ったり、ぁ、そうだ、パトカー仕様にするのもいいな・・ と、アレコレ、チョロQミニの出来上がりを想像したりも、スル。
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