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某日某夜。
人が寝静まった遅い時間に吉備高原へ出向いた。
岡山県の中央に位置する高原である。 自宅から車で1時間強の距離にある。
ここへ出向くには、うねり、直線になり、また、うねる、 延々と続く登り道を駆けねばならない。
白昼にここを通ると、あたりは木々の梢に満ち満ちて緑一色に染まっているハズだが、夜間走ると、ただ暗いばかりで、まるで永遠に続くような、一種の袋小路めいた不安な気配が兆しあがる・・
街の灯が見えない山間である。
心細い山道である。
くにゃくにゃと折れ曲がりつつひたすらに登る長い坂道をそうやって一人黙り込み、数十分と走っている内に、やがて、傾斜の感覚が薄れてくる。
負荷のかかっていたエンジン音が軽やかになる。
高原に登ったのだ。
広い、なだらかな高地である。
吉備高原都市化計画という、ある種のおろかしさを含んだ県の計画の元に整地された広い高原である。
走ってきた道も、その一環でもって増設された県道である。
人家もなければ街路燈もない辺りにまで車を進め、停止してエンジンを切った途端に、深閑が押し寄せて来る。
ライトを消すと、闇が波の侵食のように覆い被さる。
音がなく、カタチもない。
手のひらを自分の眼の前にもって来てはじめて、その輪郭のみが判別出来る、そんな深い闇だ。
自分が見えないという形容でない現実に身を置くことで、逆に自分を知らされるという気配である。
ボクらはホタルのように自分を光らせるコトはできない。
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