6ケのスピーカー
〜その3〜
 配線も正しくやった。設定も一応デケタ。DVDもセットした。モニターに画も出た。されど・・
 音が出ない。

 説明書を再々眺めるも、音の出ない理由が皆目判らない。
 ウーハァ・アンプの電源も入ってる。
 よもや結線状態がおかしいかと、アンプ本体を狭い棚から引きずり出し、背面をまたまた確認するも、マチガイはない。

 ハァ・・  ヒィ・・

 溜息と呻きが同時に漏れちゃう。
 アンプ前面のボタンをアレコレ押しまくったり、電源スイッチをON/OFF繰り返したりさせても、一向、音が出ない。
 ダンドリ、狂った。
 思惑、崩れた。
 なんか根本的なミスをおいらやっちまってのか・・ 焦燥感と苛立ちがこういう時は募るなぁ・・
 でも、自分のコトは棚上げして機械に八つ当たりするのが、マ、オトコってもんだ。
 ヤケになって、このクソったれアンプめ! でっかいボリュームの丸っこをグリリリッ、思いっきり廻してやった。
 途端!
 出た。
 音が出た。

 このアンプ、ボリューム調整として、「マイナス」があるのだ。
 音がゼロになった後も尚、ボリュームはクルリと廻り、なるほど、アンプの表示板を見るに、ボリューム音として「-29」とか「-56」とかクッキリ表示されてるじゃないの・・・・。

 フゥ・・

 今時のボリュームは、そうなってんのか?
 ひょっとして人間の耳には判別出来ない領域の音の領域までも、この4万円ホドのアンプは再現してるんだろか?
 もし、イヌ・ネコ・ラッコの類いがこの部屋にいたら、彼らがその音を聴けるくらいに、これは細やかな音波を出せる装置なんだろか?

 翌々日の午後、この手の装置に詳しいY氏と会ったので、カクカクシカジカ・・ 申し添えたら、
「それはデジタル・ボリュームってのさ」
 アッケない答えが返ってきた。
「それって接点がない良いボリュームなんだぜ」
 とのコトである。
ボリュームを上げるとか下げるとか言うはの本来マチガイとも聞かされた。
「あれは絞るんだ。しぼって使うものなんだ・・」
 とのコトである。
 すなわち、本来、音の装置というのは、実はハナっから一定の、そのアンプの許容能力最大の出力って〜のが「出て」いて、ボリュームは、その出力を絞るがためにアルんだと・・

 へ〜・・

 だから、表示としてマイナスの数値が出てるのは、それはアタリマエのコトなんだとも・・

 ホ〜・・
 知らんかったわ。

「で、イイ音してる?」
 氏は笑って問いかける。
「そりゃまぁ、前のコトを思うと、深いし、広いし、澄んでるし、移動の幅が大きいし・・」
 ちょっと形容詞が浮かばない。
 なにしろ先方さんはでっかいスピーカーを部屋に幾つも積み上げてたりする強者ゆえ、うかつに、入門機なアンプやらスピーカーやらをベタベタ誉めたり出来ゃしない。
「Yさんのに較べたら、きっとショ〜もないもんだと思うけど」
 尻すぼみに声小さくして、
「それでもまぁ、悪くはないっすね」
 2本の潜水艦映画の音について、チョボリと感想を申し上げ、フェラーリの前でカローラをちょっと誉めるのであった・・。
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 さて。
 上記内容だけでは、こたびのスピーカーとアンプの実質としての良否が判らんではないか・・
 セッティングの表層をチョイと書いたに過ぎないではないか・・ と思われる方もいるだろうから、もう少し音について書いておこう。

 音を聴く、というのは相当に主観的要素の大きな事項ゆえ、ダンコ良いとか、是非進めるとか・・書いてもあんまい意味がない。
 まして私は音にかんしての繊細さを持ち合わせていないので、どの辺りに何を基点としてモノ申していいのか実はよくわかっていない。

 ついこの前、4月のはじめころ、うちの店の前を、春の交通安全キャンペーンの一環として、岡山県警の吹奏楽団がズンチャカプ〜ヒャラ、きらびやかなオモチャの兵隊のようなカッコで吹奏しつつ歩いてくれたけど、あの腹にこたえる響きと、音の高低差の鮮明さというのは、仮に彼ら吹奏楽団のCDがあるとしても、それは、やっぱり、どこか何かが違う音というコトになろうかと思う。
 40万も50万もするアンプなり、それに見合うスピーカーであるならば、ナマな音をよりナマに放射しようとする、それゆえの40万だか50万だろうし、それっくらいのモノを購入する方というのは、音響機器設置の部屋というモノまでが考慮されているに違いなく、そういったレベルな方やモノを前にすると、やはり、たかが4万のアンプと4万くらいな6ケのスピーカーというのは、粒子加速のふるまいを話してる院生の横手で宇宙の広大と拡散を不思議げに話してる小学生みたいな、かなり相当に高低差のあるコトとして、自身、思わないではいられない次第だけど・・
 具体に申せば、こたびデンオンのAVC-1500は、私には悪かろうハズはない。
 良い。
 良い、というのはムロン今までと比較して「良い」という意味に過ぎないのだけれど、今までと比べるに格段に良いとは、いえる。
 澄んでいて歯切れが良い。
 低音担当なウーハーは、今までデッカイのを使ってたから、この点は劣る。重低音はやはり口径の大きなスピーカーがどうしても勝るというコトなのであろう。
 腹に響く、という表現には実は深度がある。
 マイ・ファーザーがかつて自作し私に提供してくれたモノは腹のかなり内部で響いてた。ボリュームを上げると、私のお腹辺りが石を投げ入れられた水面のように、音が波のように伝播している気配がありありとあった。私の身体を水とするなら、水は音に共振した。
 いかんせん、デンオンのこのウーハーではそこまでは体感出来ない。低音として響くには響いても、どこか底の薄さが彷彿させられる。自分が音に同化するような感触が薄い。
 とはいえ、効果は充分で、日頃に聴く範疇ではコレはコレで違和なく満足なものとして聴ける。
 
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デンオンのウーハァ・DSW-11
故ワタシの父製作の45cm口径ウーハァ
乗っかってる小物から大きさを比較してね
 例えばDVDで「ブレードランナー」を見ると、巻頭のクレジットから映画の幕開けとなるあの2019年のLAの夜景シーンが、5.1ch再生のおかげで、より深い浸透力のあるシーンとして体感出来る。
 リオンとホールデンの問答シーン辺りで、このアンプの実力が判ってくる。 
 ホールデンの動き、テーブルの上のモノが生じさせる音、それら個々の小さな音が明瞭でクッキリとした鮮明さでもって聞こえてくる。
 デッカードが警察署に運ばれ、署長からウイスキーを勧められてグラスを手に取る。
 この時、デッカードの背後、椅子が音を出す。聴いてハッキリそれが皮がすれて生じる音と判るホド、輪郭が鮮明である。
 デッカードがリオンのアパートを探査するシーン。バスルームにデッカードが入った途端、やや左後方から水滴の音がはじまる。
 このポチャン、ポチャンという音は巧妙に大きくなり、やがて、背後に奏でられる不安っぽい音と融合し、これがシーンとしては、あのヘビのウロコの発見へと導かれていく・・
 5.1chな音として聴いて今回はじめて、それの効果に気づかさせられた。
 同じシーンを、Macintosh G4のDVDモデルで聴いてみる。
 スピーカーは丸っこでクリアでオシャレなハーマン・カードン製作のアップル・プロ・スピーカーとクラゲの俗称、iSub ウーハー。
 なるほど、椅子の背もたれがきしむ音はする。するけれど、皮の感触までは伝えてくれない。
 バスルームの水滴の音も、たしかに聞こえているけれど、意図された効果を再現してくれているのかどうか、ヤヤ疑わしい・・・・・。

 後方から音がくるとか、音に包まれちゃうとか・・ 購入前はそこいら辺りに眼目していたけれど、いざこうやって5.1chを日常のものとすると、むしろ、個々の、小さな音の方に、耳は反応するようになった。
 映画の開始後37分が経過した頃に、プリスが雨の街路を向こうから歩いてくる。
 その雨音と彼女の靴音にはエロスがあるといったコトが、チョボリ、判ってくる。
 コツコツコツ・・
 その靴音に彼女の体重の概要が滲んでいると思われた途端、このシーンにエロチックが加味される。
 大袈裟にいえば、5.1chというのは、そういうコトが「含まれる」サウンドのよう・・。

 デンオンのAVアンプ導入の利点は、ま、そんな所です。 
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 ついでだから、 Macintosh にも触れておきましょう。
 新しいMacintosh G4 にはサウンドが入力できません。
 で、どうしたもんかと思案してたら、ウインドウズ機では標準搭載とかのサウンド・ブラスター・カードが米国でMac用にも販売されたというコト。
 MIDIの端子も装備されてるから、これはイイと思い、早速に・・ これは4月の話なんですけど、サウンド・ブラスターの日本の代理店に電話したんですよ。
 販売はいつ頃ですか? ってね。
 するとまぁ、驚きです。
 先方の男は、私のコトバ遮って、
「売りません」
 この一言です。
「えっ!?」
 一瞬、私の方が慌てましたね。
 しかも、先方さん、その一言の後、無言なんですな。
 企業に製品の問い合わせをして、これほどの不快を覚えたのはコレがはじめてですな。
 ホンマに日本では売る気なしとしても、モノは言いようではないすかな。
 なワケで、仮にサウンド・ブラスターのMacintosh用日本版が出ても、もう、この会社のものは買ってやらんわいと、そう決めた次第です。
 で、代用として、MIDI端子やオプチカル端子やら装備でUSB端子も2ケついたオンキョーの「MSE-U77」を買いましたがな。
 別にドッてことのない製品なんですけど、古いカセットテープやらレコードをCDにしちゃうという場合、使えます。
 付属のアプリケーションは何やら御大層ですので、私の場合、これはあえて使わず、Adaptec Toast Deluxeの日本語版に入ってるCDSpinDoctorを使います。単純なアプリケーションながらヤリタイ方向が明快なんで、コレは重宝します。
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