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油すまし
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「油すまし」は御承知の通り、妖怪である。
熊本辺りが出生の地であるらしい。
灯油なんぞを粗末にすると戒めのために出て来るらしい。
悪意あるものなのか善意のものなのかは定かでないけれども、とにかく妖怪である。
我々が知っている「油すまし」のカタチとしての原型が、水木しげるの漫画にあるのか、大映映画「妖怪百物語」にあるのか、あるいは原典もさだかでない もっと古い伝承の内にあるのかも知らないけれど、シゲシゲと眺め見ると、なかなかに良いカタチをした妖怪である。
贅沢を知らなげな気配である。貧しい日々とつつましい日常が垣間見えるような、妖怪である。
ちょっとくたびれたようでもあり、辛酸を舐め尽くした挙げ句にある種の悟りの境地にまで至った"聖者"のようでもある。モノノケに聖者というのも何だけど…… 鬼太郎の例もある。聖者の冠をかぶせても不当ではなかろう。
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表情に乏しい顔つきなれど、内裡には幾千もの苦悶を通過して体得した叡智があるようにも見えるし、その叡智、その聡明をひけらかす術を知らないようでもある。
オイルに関わりつつもアラブの商人のようにマネーに転化させるでないという点にも、小さな魅力が生じているよう思われる。
自己完結した、風来の孤高を見るようでもある。
ただ、その顔は……
小沢一郎のような顔といえば「油すまし」に失礼ではあるけれど、イメージとしての「油すまし」の顔は、やはり小沢代議士というコトになってしまう。
顔立ちにとどまらず、疲れたような眼までが相似しているようである。澱みの中に1点のにぶい光点があるようなトコロも両者の共通項である。
共々にそれは、不屈がもたらす燐光と思われるけれど積年の寂しさで裏打ちされた光彩のようでもある。
基礎体温としての孤独が眼から滲んでいるよう見受けられる。
小沢氏も。
「油すまし」も。
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ここに登場の「油すまし」はアームストロングという今はもうないメーカーの製品である。
かつてTVC-15が店をやっていた頃に取り扱っていた商品だったけれど、全部売ってしまった。
で、売って数年後にコレが欲しくなった。
その時にはもうメーカーもなく、入手経路としては中古を求める以外になくなっていた。
もはや何かのイベントで手に入れるしかない。
今のガレージキットなどの即売イベントの出店のうち、その半数近くは中古玩具の売買という感じになっているけれど、5〜6年前はそうではなかった。
まだ、そういった市場が出来る土壌がなく、アンティック系のTOYイベントで物色する以外に手立てがなかった。ブリキ玩具やソフビ人形などのTOYとガレージキットのようなものとがクロスオーバーしていくのは、ここ数年のコトだ。
だから、大阪のあるイベントにて、やっと1体みつけた時には嬉しかったナ。
この時は3000円くらいだったかしら。
その後、また1体をどこかで見つけ、これは確か1000円程で入手したと記憶する。
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妖怪云々という以前に、この「油すまし」のカタチが好きになっていたから2体を並べて飾り置くのも、悪くない。
味わい深い良い玩具であるなという印象である。
1000円というプライスに人気のなさが窺い知れるけれど、もっと高額に評価してよい「フィギュア」である。
テレビ鑑定団のように何でも円換算してしまう傾向は大嫌いだけれども、1000円は不当である。
買っておいて言うのも何だけど〜〜。
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さて。
その「油すまし」を購入し、部屋に鎮座させている内に季節がめぐった。
西に落ちる陽の影が影法師の名にふさわしい長さになり、秋から冬になった。
暖房を要する季節に、「油すまし」のスガタはいかにも寒々とした風情である。
ミノカサをまとっただけの素足でもある。御本人も寒かろうが、それを眺めるコチラにも寒さが伝染するようである。
コレはいかんな…… と思い、そこで一考、した。
ズボンというワケにはいかないが、せめて帽子でも…… と思いたった。
お地蔵さんにヨダレかけや帽子をのせてあげるのと同じである。
毛糸の帽子を一つ、作ってあげるコトとした。
シュミの良い、品の良い、あったかく、あったかそうでもある、誰が見ても愛してくれそうな、そんな帽子を「油すまし」に被ってもらうのさ。
「油すまし」を持ち込み、事情を話し、プランを告げると、手編みをやってくれる女性は、口を大きく開け、それはそれで口裂けオンナの風情を漂わせつつ、もちろん、御自身そのコトに気づきもせず、ケセラセラとはじけるように笑いながら依頼を引き受けてくれた。
待つこと1週間、1ケのショウチャン帽が出来上がる。
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寒そうなスキンヘッドに被せてやると、お〜、よ〜〜似合う。
ボロい作務衣の上にアルマーニを羽織っているようなチグハグさはあれど、総じて、オシャレじゃないか。
見た眼にもあったかそうでアル。
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季節が移ろい、また秋がやってきた。
冬も近い。
10月1日。衣更えの日。
今冬も、「油すまし」は帽子を被る。
アップルのレインボー・カラーだ。
これで一度ほど 、室温も上がる。
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君、寒かろう?
なに、これしき…
んなコトより東海村の事故が心配だわさ
ぁあ、そう、そうだね
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