自転車は「走る凶器」


 11/7付けの朝日新聞文化欄に東大教授の岩井克人という人が"自転車は「走る凶器」"と題した1文を寄せていらっしゃいます。
 歩道を駆ける自転車がいかに危険であるかを老人の人権という見地から描き、日本の歩道を
『無法地帯と化してしまった』と嘆いていらっしゃいます。老人が自転車事故に遭遇したさいには結果として泣き寝入り以外にないと、だから『日本の社会はまだ十分に市民社会を名乗ることは出来ません』と、おっしゃっています。
 長文の記事ゆえ仔細をここに紹介しないけど、なんとも不可思議なワケの判らない一文なので、ついつい笑ってしまいました・・。
 この岩井なる東大の先生が何を専攻なさっているのか知りませんけれど、虐げられている弱者としての老人を、歩道というフィールドから描いているつもりなんでしょうね、きっと。
『表題は誤植ではありません。自<動>車ではなく、自<転>車が走る凶器だと言っているのです』にはじまる五段組の大掛かりな記事で、歩道と老人の現状を愁い、『このようなことを考えながら歩道を歩いていると、突然自転車が飛び出してきました。思わずよけようとしたら、腰に激痛が走りました。いまギックリ腰を患っているのです。本当に自転車は走る凶器です』と結んでいらっしゃる、その文の、根も幹も葉もが、ホンマにおっさん、東大の先生なんかい? と訝しむホドに思考が稚拙で、痛々しいばかりです。
『歩道とは人間が歩くための道路です。その歩道を安全に歩くことは、人間の基本的な権利であるはずです。その権利が自転車の乱暴な運転によって侵害されているのです』と書く岩井氏は、『道路交通法を調べ、その第63条の4に、自転車が通行できるのは道路標識などによって示されている一部の歩道に限られている』と続け、『自転車が歩道を猛スピードで走ったり、ベルを鳴らして歩行者をどかせたり、曲芸師のように歩行者の間をすり抜けていくことなど、基本的人権の侵害であるだけでなく、まぎれもない法律違反であるのです』とお書きになります。
 稚拙で短絡。とりわけ眼につく狭窄・・。
 ボクは、笑いましたよ。
 そも、自転車が何故に歩道を走れるのか・・、走るようになったのか・・、その現状をどうも彼は知らないようです。
 現実の街に出て、現実に自転車に乗るなりしてみれば、自転車という、これまた弱者の塊りである物体がいかに道路から疎外されているかを、痛いホドに知るコトが出来るでしょうに。
 だから、おそらく、岩井氏は自転車に乗れない方なのでしょう。
 そうでなくば、このような一方的決めつけの文は書けないでしょう。
 自転車も車も乗らないマジメな歩く人ゆえ、自転車の立場をご理解出来ないのでしょう。
 いや、ご理解しなくともモチロン宜しいのですけど・・ 東大教授という肩書きで五段組の記事を占有できるという立場でいらっしゃるのなら、酔狂で記事を書くなよオッサン、とついつい悪態をつきたくなりますね。
 むろん、歩道上での横暴な自転車があるというのはコレは拭えぬ事実です。
 二列で歩道を駆けるバカな自転車のコ、無灯火のアホ、カサさして無灯火のパッパラパ〜・・ 幾らでもいます。
 おそらく、街が、都市が、過密になるホドにおバカの具合も増殖しているのでしょう。
 自転車も左側走行のものという基礎すら知らないライダーが幾らでも、いる・・。
 岩井氏の生活空間はそういう過密な所にあるのでしょう。
 その一点はご同情申し上げたい気分なのではありますが、さて、けれども、朝日新聞上の論説は、これはまったくいただけません。
 自転車への偏見とかたよりの傾斜具合が、まったくいただけません。
 自転車が危険ではなくって、自転車をドライブする一部の人間が危険なのだという正しい認識の上で論を進めていただきたいものです。
 社会性を帯びたように描きつつも社会を見ている眼差しが、細く、狭く、まるで、中学生の作文がごときな希薄・・。
 
自転車も歩行者も異様なホドにいびつな弱者であるというコトにすらお気づきでない気配に、なにやらグンニャリさせられます。森に入って木を見ていない類いのノ〜テンキさには氏が侮罵ぎみに書いていらっしゃる自転車乗りと表裏一体のおバカの色彩を感じます。
 基本的人権を持ち出して歩行者を擁護し、自転車は歩道でなく道路を走れという趣旨たれば、では、自動車の速度と風圧におびえつつ道の端で小さくなっている
自転車乗りの人権というのは、さて、どのようなものなのでありましょう?
 大型小型のサイズを問わず自動車は自転車にとってはヤッカイな乗物です。
 自転車乗りが恐怖をおぼえる自動車ドライバーは、岩井氏が歩道でおぼえた自転車への恐怖同様、幾らでもある。
 歩道を純然と歩行者のモノとしたい気分はわかります。
 そうあってしかるべきだし、そうでなくてはイケナイともボクは思います。歩道に自転車を共存させているコトには大いなる疑問があります。
 が、いかんせん、岩井氏の記述には、その辺りの考察がありません。ただただ自転車が危ないというその言い分はいっそ扇動的でさえあります。ましてや老人という"弱者"を楯にしての自転車攻撃というのは矮小で卑劣でもありましょう。
 歩道を追われた自転車は、では、どこを安全に走れるのか?
 その提案こそを告げて欲しいものです。
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